アビシニアンについて
last updated on Nov 11, 2018.
(加筆修正中です)
「アビシニアン・どんな猫?」
起源や歴史など一般的な情報は、国内外問わず詳細に書かれている良いサイトや良書がたくさんありますので、ここでは書くことは省きたいと思います。
アビシニアンが日本へ輸入された当初、今から50年近く前になりますが、当時のアビシニアンは、外観も性格も、それは野性的だったそうです。
現在のアビシニアンと比べてやや野暮ったくずんぐりした容姿、四肢や首には濃くはっきりした縞が見られる洗練度の低い外観(ご存知のように、アビシニアンの毛色はティックドタビー、つまり縞猫なのです)。
輸入したは良いものの、家人が誰も触れることができず、姿も見かけられず、餌を置いておけばいつの間にか食べているという「家庭内野良」ちゃん状態(笑)の猫も珍しくなかったとか。
当時のアビシニアンが世界規模で同様だったのかどうかは判りませんが(血統や個体差があるため)、近年まで、動物病院における「診察したくない猫種」のワースト2くらいまでに入っていたそうです。
その後、先達たちの努力によって、より洗練された容姿と、現在の穏やかでフレンドリーな性格の扱いやすいアビシニアンに改良されて今に至ります。
しかし、現在でも、国内でもそのような観点から繁殖されていない一部の猫では、外観はともかく、性格面での遺伝的なエラー(飼い方・扱い方が正しく、人間との関係が正しく築けているにもかかわらず、理由もなく突然凶暴化する?)や扱いづらさを持つ個体がいるという情報もあり、アビシニアンが大好きな私たちとしてはとても残念に思っています。
私が最初にターキッシュアンゴラを輸入したとき(もう8年ほど前になりますが)も、検疫施設の職員さんが、
「アビシニアンは検疫でお預かりしたり、取り扱いたくない猫種のうちのひとつですね。」
とおっしゃっていました。「気が荒いから」とのことでした。
検疫所では、輸入される猫以外に国内外を往来する猫たちも訪れます。
お預かりしたくないとまで言われてしまうアビシニアンって、一体どんなアビなのだろう?と気になりましたが、誤った飼い方(扱い方)以外に原因が考えられるとしたら(多くのトラブルはこの誤った扱い方によることが多いのも事実。飼い主さん自身が猫やアビシニアンに不慣れで気づかないことも)、国による猫の質の違いや血統、個体差の他、上記のようなこともあるのかもしれません。
「アビシニアン・どんな性格?」
容姿についても詳しく説明されているサイトや良書がたくさんありますので、ここでは書くことを省きたいと思います。
血統や個体差、飼われ方などによって全く異なる場合はありますので、私の個人的な感想とお考えいただければと思います。
アビシニアンは、猫というよりはどちらかというと「脳天気な犬」のような性格です。
脳天気、というのは、例えばこんな点。
・常に「楽しいこと」しか考えていない。
・人間を疑うことを知らない(疑うようになるほどの嫌な経験をしていない場合に限る)。
・何かを追ってジャンプした際などに、着地のことは全く考えていない。
想像を超えた天然ぶりは微笑ましい限りですが、人間側が環境などに配慮してやらないと危険なことがあるかもしれません。
一方で、アビシニアンの脳天気さは「鈍さ」を伴うものではなく、聡明さと繊細さも併せ持っています。
例えば、お客様が大好きなアビシニアンたちは、来客があると興味津々で寄っていき、じゃれてみたり、膝の上にちゃっかり座ってしまったり、肩に飛び乗ったり、襟巻きになってみたりしちゃいます。
けれど、警戒心が全くないのかというと、実はとても緊張していたりもする。
猫たちが暮らしている屋内は、猫にとっては大切なテリトリーでもあります。
その中の一角であっても見知らぬ者が侵入してくるのですから、当然かもしれませんが。
お客様がお帰りになったあとは、しばしば「面白かったけど、疲れた~。」とノビていることも。お客様への気遣いも猫なりにあっているようです。
他の猫種や動物と暮らす場合は、アビシニアンがその猫の上に位置すれば別ですが、そうでないときは、「鈍い」猫種はときとしてアビシニアンの負担になることがあります。
他の猫種との同居や多頭飼育には向いていないということでは間違ってもありません。飼育書などには何故か決まって書かれているのですが(笑)。
アビシニアンは「マンション・キャット」とも呼ばれるくらい、殆ど鳴くことがありません。
といっても、これも個体差があり、これも他の猫種や動物と同様に、生まれたときから男の子のほうが多少おしゃべりであったり、飼われる環境でも異なってきます。
鳴かない分、表情や仕草(ボディラゲージ)が発達していて、実はとても「お喋り」です。
私は以前(もう30年くらい前)、狼の血が98パーセントくらい入っているという狼犬や、飼育下のオオカミと接して戯れたことが何度かあります。以心伝心度が犬とは比べ物にならず、とても楽しかった記憶がありますが(初対面なのに
「遊ぼう!」と誘われたり。知人や飼育員さんには驚かれてしまいましたが)、そのときの意思の疎通のツーカー加減が、アビシニアンととてもよく似ていると感じています。一方で、このお喋りが理解されないと、きっとストレスが多いだろうな、と、この猫種の繊細さを思うことがあります。
それから、アビシニアンは基本的にとても「甘えん坊」です。
お膝も抱っこも大好きです。
よく、アビシニアンは膝に乗らない、抱っこが嫌いと言われていますが、これまた血統や個体差もありますが、人間の都合で抱き上げたりすれば、どの猫種でも嫌がります。
私は今まで私の都合でそのようなことを猫にしたことがありませんが、上記の「嫌い」の多くは、そのようなことなのではないかとも考えています。
不快な思いをすれば、更に「抱っこ嫌い」も加速するでしょう。
余談ですが、「お膝好き」は、私がアビシニアンを選んだ大きな理由のひとつでもあります(笑)。
「アビシニアン・純血種って?」
←いずれ項目を分ける予定です。
「純血種」という言葉(表現?)は、厳密に言えば正しくないかもしれません。
純血種と呼ばれる猫で、その猫種の血だけで作出されている猫は、先ずいないと言って良いからです。
アビシニアンは、第2次世界大戦で劇的に数が減り(ヨーロッパではのちの白血病の流行にも影響されました)、猫種を維持するために、幾つかの猫種の血を借りなければなりませんでした。
その後、頭数を回復させると同時に、アビシニアンを絶滅の危機から救ってくれた他の猫種の良い影響だけを残し、本来のアビシニアンらしいアビシニアンを追求しながら、他の猫種から与えられた弊害を取り除く作業が地道に繰り返されて今に至ります。
ここで言う弊害とは、単に容姿の劣化ではなく、主に「遺伝的多様性」によるメリットではなく負の側面である遺伝疾患等を指します。それぞれの猫種には、犬種と同様に特有の遺伝疾患を持っていることがあります。
必要に迫られた上記のような異種交配以外にも、主に容姿の改良を目的に近年まで他の猫種が使われてもいます。ヨーロッパでは血統書上で一部が明らかになっていますが、アメリカは改良と称するこの種の異種交配が盛んで、痕跡は容姿や、一部は遺伝子で確認できますが、血統書上には表れません。
例えば、大きな耳や長い四肢と尾、すらりとした体型などは、オリエンタルショートヘアからもたらされたものですが、血統書上では確認することができません。
例えば、私が扱うダイリュート遺伝子を持ったアビシニアンたちや、レッド、ブルー、フォーンといった毛色は、全て過去の異種交配の結果生じた毛色です(毛色遺伝子に限って言えば、ノンダイリュートのルディやレッドであっても
「純粋な」アビシニアンというのは存在しませんが)。
その他、現在は猫種として確立しているソマリは、長毛種を導入した結果を固定化したものですし、ヨーロッパなどに見られるシルバーやトービー、クリーム、チョコレートやライラックなども、全て異種交配によって生じている毛色です。
現在、CFAやTICAなど、多くの愛猫団体では、アビシニアンではこのような異種交配を認めていません。
また、先の遺伝的多様性の負の側面である弊害のリスクを減らすために、安易な異種交配は避けなければなりません。
日本国内では、ラディ、レッド、ブルー、フォーンの4つの毛色がCFAで、TICAではそれらの毛色に加えてシルバーなどが正式に認められています。
(加筆修正中です)
「アビシニアン・どんな猫?」
起源や歴史など一般的な情報は、国内外問わず詳細に書かれている良いサイトや良書がたくさんありますので、ここでは書くことは省きたいと思います。
アビシニアンが日本へ輸入された当初、今から50年近く前になりますが、当時のアビシニアンは、外観も性格も、それは野性的だったそうです。
現在のアビシニアンと比べてやや野暮ったくずんぐりした容姿、四肢や首には濃くはっきりした縞が見られる洗練度の低い外観(ご存知のように、アビシニアンの毛色はティックドタビー、つまり縞猫なのです)。
輸入したは良いものの、家人が誰も触れることができず、姿も見かけられず、餌を置いておけばいつの間にか食べているという「家庭内野良」ちゃん状態(笑)の猫も珍しくなかったとか。
当時のアビシニアンが世界規模で同様だったのかどうかは判りませんが(血統や個体差があるため)、近年まで、動物病院における「診察したくない猫種」のワースト2くらいまでに入っていたそうです。
その後、先達たちの努力によって、より洗練された容姿と、現在の穏やかでフレンドリーな性格の扱いやすいアビシニアンに改良されて今に至ります。
しかし、現在でも、国内でもそのような観点から繁殖されていない一部の猫では、外観はともかく、性格面での遺伝的なエラー(飼い方・扱い方が正しく、人間との関係が正しく築けているにもかかわらず、理由もなく突然凶暴化する?)や扱いづらさを持つ個体がいるという情報もあり、アビシニアンが大好きな私たちとしてはとても残念に思っています。
私が最初にターキッシュアンゴラを輸入したとき(もう8年ほど前になりますが)も、検疫施設の職員さんが、
「アビシニアンは検疫でお預かりしたり、取り扱いたくない猫種のうちのひとつですね。」
とおっしゃっていました。「気が荒いから」とのことでした。
検疫所では、輸入される猫以外に国内外を往来する猫たちも訪れます。
お預かりしたくないとまで言われてしまうアビシニアンって、一体どんなアビなのだろう?と気になりましたが、誤った飼い方(扱い方)以外に原因が考えられるとしたら(多くのトラブルはこの誤った扱い方によることが多いのも事実。飼い主さん自身が猫やアビシニアンに不慣れで気づかないことも)、国による猫の質の違いや血統、個体差の他、上記のようなこともあるのかもしれません。
「アビシニアン・どんな性格?」
容姿についても詳しく説明されているサイトや良書がたくさんありますので、ここでは書くことを省きたいと思います。
血統や個体差、飼われ方などによって全く異なる場合はありますので、私の個人的な感想とお考えいただければと思います。
アビシニアンは、猫というよりはどちらかというと「脳天気な犬」のような性格です。
脳天気、というのは、例えばこんな点。
・常に「楽しいこと」しか考えていない。
・人間を疑うことを知らない(疑うようになるほどの嫌な経験をしていない場合に限る)。
・何かを追ってジャンプした際などに、着地のことは全く考えていない。
想像を超えた天然ぶりは微笑ましい限りですが、人間側が環境などに配慮してやらないと危険なことがあるかもしれません。
一方で、アビシニアンの脳天気さは「鈍さ」を伴うものではなく、聡明さと繊細さも併せ持っています。
例えば、お客様が大好きなアビシニアンたちは、来客があると興味津々で寄っていき、じゃれてみたり、膝の上にちゃっかり座ってしまったり、肩に飛び乗ったり、襟巻きになってみたりしちゃいます。
けれど、警戒心が全くないのかというと、実はとても緊張していたりもする。
猫たちが暮らしている屋内は、猫にとっては大切なテリトリーでもあります。
その中の一角であっても見知らぬ者が侵入してくるのですから、当然かもしれませんが。
お客様がお帰りになったあとは、しばしば「面白かったけど、疲れた~。」とノビていることも。お客様への気遣いも猫なりにあっているようです。
他の猫種や動物と暮らす場合は、アビシニアンがその猫の上に位置すれば別ですが、そうでないときは、「鈍い」猫種はときとしてアビシニアンの負担になることがあります。
他の猫種との同居や多頭飼育には向いていないということでは間違ってもありません。飼育書などには何故か決まって書かれているのですが(笑)。
アビシニアンは「マンション・キャット」とも呼ばれるくらい、殆ど鳴くことがありません。
といっても、これも個体差があり、これも他の猫種や動物と同様に、生まれたときから男の子のほうが多少おしゃべりであったり、飼われる環境でも異なってきます。
鳴かない分、表情や仕草(ボディラゲージ)が発達していて、実はとても「お喋り」です。
私は以前(もう30年くらい前)、狼の血が98パーセントくらい入っているという狼犬や、飼育下のオオカミと接して戯れたことが何度かあります。以心伝心度が犬とは比べ物にならず、とても楽しかった記憶がありますが(初対面なのに
「遊ぼう!」と誘われたり。知人や飼育員さんには驚かれてしまいましたが)、そのときの意思の疎通のツーカー加減が、アビシニアンととてもよく似ていると感じています。一方で、このお喋りが理解されないと、きっとストレスが多いだろうな、と、この猫種の繊細さを思うことがあります。
それから、アビシニアンは基本的にとても「甘えん坊」です。
お膝も抱っこも大好きです。
よく、アビシニアンは膝に乗らない、抱っこが嫌いと言われていますが、これまた血統や個体差もありますが、人間の都合で抱き上げたりすれば、どの猫種でも嫌がります。
私は今まで私の都合でそのようなことを猫にしたことがありませんが、上記の「嫌い」の多くは、そのようなことなのではないかとも考えています。
不快な思いをすれば、更に「抱っこ嫌い」も加速するでしょう。
余談ですが、「お膝好き」は、私がアビシニアンを選んだ大きな理由のひとつでもあります(笑)。
「アビシニアン・純血種って?」
←いずれ項目を分ける予定です。
「純血種」という言葉(表現?)は、厳密に言えば正しくないかもしれません。
純血種と呼ばれる猫で、その猫種の血だけで作出されている猫は、先ずいないと言って良いからです。
アビシニアンは、第2次世界大戦で劇的に数が減り(ヨーロッパではのちの白血病の流行にも影響されました)、猫種を維持するために、幾つかの猫種の血を借りなければなりませんでした。
その後、頭数を回復させると同時に、アビシニアンを絶滅の危機から救ってくれた他の猫種の良い影響だけを残し、本来のアビシニアンらしいアビシニアンを追求しながら、他の猫種から与えられた弊害を取り除く作業が地道に繰り返されて今に至ります。
ここで言う弊害とは、単に容姿の劣化ではなく、主に「遺伝的多様性」によるメリットではなく負の側面である遺伝疾患等を指します。それぞれの猫種には、犬種と同様に特有の遺伝疾患を持っていることがあります。
必要に迫られた上記のような異種交配以外にも、主に容姿の改良を目的に近年まで他の猫種が使われてもいます。ヨーロッパでは血統書上で一部が明らかになっていますが、アメリカは改良と称するこの種の異種交配が盛んで、痕跡は容姿や、一部は遺伝子で確認できますが、血統書上には表れません。
例えば、大きな耳や長い四肢と尾、すらりとした体型などは、オリエンタルショートヘアからもたらされたものですが、血統書上では確認することができません。
例えば、私が扱うダイリュート遺伝子を持ったアビシニアンたちや、レッド、ブルー、フォーンといった毛色は、全て過去の異種交配の結果生じた毛色です(毛色遺伝子に限って言えば、ノンダイリュートのルディやレッドであっても
「純粋な」アビシニアンというのは存在しませんが)。
その他、現在は猫種として確立しているソマリは、長毛種を導入した結果を固定化したものですし、ヨーロッパなどに見られるシルバーやトービー、クリーム、チョコレートやライラックなども、全て異種交配によって生じている毛色です。
現在、CFAやTICAなど、多くの愛猫団体では、アビシニアンではこのような異種交配を認めていません。
また、先の遺伝的多様性の負の側面である弊害のリスクを減らすために、安易な異種交配は避けなければなりません。
日本国内では、ラディ、レッド、ブルー、フォーンの4つの毛色がCFAで、TICAではそれらの毛色に加えてシルバーなどが正式に認められています。